ある日突然、証券会社から届く「TOBのお知らせ」
株価は一気に上がっているけれど
- これって今すぐ売っていいの?
- TOBに応募したほうがいいの?
- 何もしなかったらどうなるの?
…と、初めてのことだとよくわからないことが多いですよね。
まめこも今年初めて保有株のTOBを経験し、その後にも2回あり
今年1年で3度のTOBを経験することになりました。
その経験をふまえて今回は、
という疑問に、まめことこりんが初心者さんにもわかりやすく解説します!
TOBってなに?ざっくり解説

TOBとは「株式公開買い付け」という仕組みで、
企業が株式市場を通さずに、決まった価格で、株主から株式を直接買い集めること。
というような場合に実施されることが多いです。
TOBが株価に与える影響
TOB価格は一般的に、現在の株価から数十%ほどのプレミアがついた価格が提示されます
そうすると、市場の株価もTOB価格付近まで上昇することが多いです。
例えば、発表時の株価が1000円、TOB価格が1300円としたら
株価は急騰して1300円付近で張り付きます。
これは、TOBが成立すれば確実に1300円で売れるので、その差益で儲けを得ようという投資家が買い集めるためです。
保有株のTOBが発表されたらどうすればいいの?

TOBが発表されると、株主の元には
「このTOB価格で株式を買い取るので、期限までに応募してください」
と、書類が送られてきます
これはあくまで「お願い」であって、強制ではありません。
株主は、任意で以下の2つを選ぶことができます。
- 応募する(TOBに応じて売る)
- 応募しない(市場で売る、または保有を続ける)
TOBに応じない場合、この書類は無視して構いません。
TOBのデメリット
TOBに応募し、成立すればTOB価格で買い取ってもらうことができます。
ただし応募するためには
- 指定された証券会社に口座を持っている
- TOBに応募する株を、その口座で保有している
という条件があります。
そのため、指定された証券会社に口座を持っていない場合は新たに開設する必要がありますし、さらにその口座に株を移管しなくてはならず、なかなかの手間です。
また、TOBに応募すれば100%株を買い取ってもらえる、というわけではありません。
応募数が規定に届かなかった場合など、もしTOBが不成立になった場合には、株は買い取られずに返却されてしまいます。
まめこは市場で売却したよ
2025年、まめこの持ち株の中では
と、3銘柄でTOBがありましたが、まめこはいずれも市場で売却しました。
いずれも100株〜500株の保有で株価もTOB価格と10円未満の差だったし、指定の証券口座以外で保有していたので、手軽さを優先して市場で売却しました。
市場で売却する場合、最良なタイミングは?
TOBに応じずに市場で売却する場合、気になるのは
いつ売れば一番高く売れる?
ということではないでしょうか。
結論から言うと
TOBの期限が近づくにつれて少しずつTOB価格との差が縮まっていくことが多いようです。
こちらはTOB期間中(11/15〜12/15)のセントケアホールディングのチャートです

最初はTOB価格の1220円より5円ほど安い1215円付近で推移していたのですが、12/22のTOB期限が近くなるにつれて、少しずつ株価が上がっています。
これはなぜかというと
TOB不成立の不安が減っていくから
発表直後は、
- 本当に成立する?
- 応募が集まる?
- 条件変更はない?
といった不安要素があります。
期限が近づくにつれて、「これは成立しそうだな」という見方が強くなり、
不安分として引かれていた価格差が縮まっていきます
逆に言えば、TOBが不成立になるというリスクもわずかにあるということ。
そうなると期待で上がっていた分が一気に戻り、株価が急落することもあるので注意が必要です。
また、TOBが成立しそうであっても、期限の数日前になると株価が落ち着かなくなってきたりすることも。
個人的には、ギリギリまで待たずにある程度TOB価格にサヤ寄せしたところで売却。というのがバランスがいいのではないかと思います。
ちなみにまめこは、このセントケアホールディングのTOB相場が始まったところである程度様子見して1218円くらいにはなりそうかな?と思ったので、1218円で指値を入れておき、12/3に約定していました。

100株ホルダーだったので、TOB価格で売却した場合との差は200円だったよ

それなら早めに売却してキャッシュにしちゃった方がいいな!
上場廃止後も保有し続けたらどうなる?
次に、TOBに応募もせず、市場で売却もしなかったらどうなるの?という疑問です。
結論から言うと、しばらく株主ではいられます。
ただし上場廃止になると
- 市場で売却できなくなる
- 株価がわからなくなる
- 情報開示が激減する
- 配当・株主優待は廃止される可能性が高い
というように、個人投資家が株主でいるメリットがほとんどない状態です
さらに、多くの場合
最終的には強制的に現金化(スクイーズ・アウト)されます
その場合、TOB価格と同水準で現金化されることが多いようですが、
- 売却タイミングは選べない
- 現金化まで時間がかかる
というデメリットがあります。
「非上場後も持ち続ける明確な理由」が特になければ、放置せずに売却を考えましょう。
TOBに応募しても必ず買い取られるとは限らない
TOBでは「応募した=必ず全株が買い取られる」とは限りません。
多くのTOBには、
「○%以上の株数が応募された場合に成立」という最低成立条件が設定されていて
応募株数がこの条件に届かない場合
- → TOB不成立
- → 応募した株はすべて返却(1株も買い取られない)
となることもあります。
TOBの不成立は、特に
といった場合に起こりやすいです。
このように不成立の可能性がありそうな時は市場も慎重になり、TOB価格と市場価格に乖離が大きくなる場合があります。
まめこ的・判断の目安

持ち株がTOBになったら。まめこの考えはこんな感じ
基本的には市場売却でOK!
TOBに応募するには指定された証券会社でその株を保有している必要があります。
別の証券口座で保有している場合は移管作業等かなり面倒だと思うので、市場で売却するのが現実的だと思います。
TOB価格と市場価格にそれほど差がなく、保有株数も少なければ市場売却でもTOB応募でも大差ありません。
手間や資金拘束の面から考えても、市場で売却するのをおすすめします。

じゃあ、元々指定された証券会社で保有していた場合は?

その場合はTOBに応募でもいいかもね。ただし応募後はもう市場での売却はできなくなるから、不成立の可能性がありそうな場合などは注意してね
TOBの状況パターン別 判断基準
という状況別での考え方はざっくりこんな感じ
| TOB成立確度 | 上場廃止 | 考え方 |
|---|---|---|
| 高い | あり | 事実上の最終出口。売却前提で判断 |
| 高い | なし | TOB価格が妥当なら売却、割安なら保有 |
| 低い | あり | リスク高。早めの撤退も検討 |
| 低い | なし | TOBは一時イベント。無理に動かない選択も |
状況を見ながら判断していきましょう
まめこの初TOB体験談
今年の2月に飛び込んできた、三井化学による「DNAチップ研究所」TOBのお知らせ。
DNAチップ研究所は、私が投資を始めたばかりの頃から保有していた、わりと思い入れのある銘柄でした。
少し前に身内をがんで亡くしていたので、がん研究に対して投資したい気持ちがあり、DNAチップ研究所もそのひとつです。
値動きの激しい「小型バイオ株」というリスクの高い投資先でしたが、将来性に期待して長年含み損にも耐え、逆に高騰して含み益が大きくなった時も売らずに保有し続けていました。
そして、経営が黒字化してこれから…というところでのTOB。
5年持ち続けた身としては、美味しいところを持って行かれたようで正直残念な気持ちでした。

しばらく様子見してたけど結局TOBが成立。泣く泣く市場で手放したんだよね…
ただ、500株と私にしては保有数が多く、さらに株価の乱高下も激しいハイリスクな銘柄だったので、手放してみたら少しホッとしたというのが正直な気持ちでもあります😅
初心者のまめこが感情と感覚だけで購入した、今だったらきっと買わない銘柄にピリオドを打てたのだと、今は思います。(ちなみに利益は500株で15万円ほどでした。。)

これからは三井化学の傘下で、DNAチップの技術が活きていってくれるといいな…

なんかいいハナシ風に締めてきたなぁ…
TOB=「プレミアム価格で売却できてラッキー」と思う人もいれば、今回のまめこのように、将来性を期待して投資していた人にとっては少し複雑な気持ちになることもあります。
そして多くの投資家にとってTOBは「出口を考えるタイミング」でもあるような気がします
まとめ:保有株がTOBになったら、まず状況整理
TOBとは、企業が株式市場を通さずに、決まった価格(TOB価格)で、株主から株式を直接買い集めること。
多くの場合、TOBが発表されたら市場の株価もTOB価格にサヤ寄せされます。
もし、
- TOBが成立する可能性が高く
- 成立後、上場廃止が予定されている
という状況であれば、株主の取るべき行動は売却一択です。
市場で売却するか、TOBに応募するかを早めに判断しましょう。
TOBに応募するためには指定された証券会社でその株を保有している必要があり、他社で保有している場合は事前に移管手続きが必要になります。
そのため、TOBが発表後に株価がすでにTOB価格にサヤ寄せされているのであれば、市場で売却するというのが最も手軽で現実的な選択といえるでしょう。
一方で、
- 指定された証券会社で株を保有している
- 保有数が多い
- 面倒でもTOB価格で確実に売却したい
という場合にはTOBへの応募を検討する価値があります。

TOBって結構考えること多いな

初めてだとちょっと戸惑うよね。ポイントは「成立しそう?」「上場廃止予定?」「TOB指定の証券会社は?」の3点。

放置せず、状況整理して最適な選択をすべし!

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